2014年07月14日

ロリン・マゼールを偲ぶ(リンク修正)

(リンクがおかしくなってたやつを直したので再度)

今朝、起きてからTiwtterのTimeLine(TL)をチェックしていたら、ロリン・マゼール氏の訃報に接しました。
謹んでお悔やみ申しあげます。

今年のPMFの指揮者に決定していたのですが、体調不良のためキャンセルされたというニュースを目にしており、またミュンヘン・フィルでの活動キャンセルなども含めて各所で体調不良による演奏キャンセルのニュースを目にしていたので、気にはしていたのですが・・・。
http://www.pmf.or.jp/jp/news/2014/06/post-5.html


まだ盛岡に住んでいた時、プロのオーケストラの生演奏に触れるという機会はそれほど多くはありませんでした。
それでも一年に一回程度で、すごい方がいらしゃっていた事もあり、何度かは実演に触れる事が出来ました。
ゲルギエフ、デュトワ、大植英次、アシュケナージ、ルイージなどなど。

その中で、バイエルン放送響とのコンビで盛岡に来た時の事を、今でも思い出します。
そのときのプログラムがとんでもなくて、R・シュトラウスの「英雄の生涯」をやってから、ブラームスの交響曲第1番でした。
ってかどっちもメインプログラムでしょ普通にw
ちなみにそのときの来日公演プログラムで、この2曲を一回の演奏会でやっているのは盛岡だけだったと記憶しています。

超満員だった盛岡市民文化ホール大ホールで、英雄の生涯の冒頭の音が鳴り響いた瞬間から、もう言葉も無かったです。
とにかくゴージャス。
ゴージャスな響きでした。
キラキラしてて、密度が濃いのに息苦しくないあの響きは忘れられないなぁ。


ロリン・マゼールという指揮者の存在を知ったのは、おそらく高校に入学した辺りだったかと思います。
実家には父や叔父が残したLPがたくさんあったのですが、ワルター、バーンスタイン、カラヤン、セル、ライナー、ケンペ、バルビローリ、モントゥー、アバド、ハイティンクといった指揮者の他にも、アラン・ロンパールやルイ・フレモーといったマイナー(失礼)な指揮者まで揃っていたのに、マゼールはありませんでした。
(さらに言うと小澤さんのLPも何故か無かった)

マゼールは高校に入学してレコード芸術なる雑誌を買うようになってから知ったのですが、知ったきっかけは「春の祭典」でしたw
高校の時って、なんか小難しい曲とかが好きになる時ってあるじゃないですか(あるのかよ)。
その流れで、当時変拍子でわけわからん曲の代表的な作品だったストラヴィンスキーの「春の祭典」って、聴き比べをするのにちょうどいい感じなんですよ。
・アバド/ロンドン
・ブーレーズ/クリーブランド
・カラヤン/ベルリン
・ストラヴィンスキー/コロンビア
・デュトワ/モントリオール
・小澤/ボストン
・ドラティ/デトロイト
こんな流れの中に、マゼール/ウィーンフィルってのがありました。
これがまたへんてこな演奏でw
凄く引っかかった指揮者だったんです、そのとき。

で、あるとき。
マーラーの復活を高校吹奏楽部のOBから聞かせてもらって衝撃を受けていた時期に、高校の同級生に「マーラーの復活、っていうすごい曲があってさー」とか話したんですよ。
そしたら彼は「それなら俺持ってるよ」と。
え?クラシックとかよく聞くの?と思ったら、親が持ってる、と。
翌日貸してくれました・・・・って、これ・・・「巨人」って書いてるんだけど・・・。
ということで、同級生の勘違いだったわけですが、この時の「巨人」こそ、マゼール/ウィーンフィルによる全集からの一枚なわけです。


ここで衝撃を受けました。
まぁ曲そのものをあまり当時は知らなかった、というのもあるのですが、弦楽器の豊穣な響きが、オドロオドロしいフレーズを紡いで行くサマときたら、当時の私のハートをガッツリ掴んだわけです。
その後、自分でもどうしても欲しくなったので、ワルター/コロンビアの巨人を買うのですが、それはまた別の話。



以降、マゼールは好きな指揮者の一人として、こっそり追っていたりしていたので、今回の訃報は衝撃を受けました。
ショルティと同じく、老いとかいうのと無縁な感じがしてたんだけど・・・まぁ人間ですからいつかは寿命が尽きるわけで。
仕方が無いとはいえ、ショックでした。


そんなマゼールについて、個人的に推している録音を幾つか。

リヒャルト・シュトラウス管弦楽曲集


バイエルン放送響とのコンビにおける金字塔とも言える録音。
私が買った時はまだドン・キホーテが発売される前だったかのやつなのですが、今回紹介してるのはドン・キホーテも入ってるもの。
いーなーw(チェロはイッサーリスだ!)
このリヒャルト・シュトラウスは、80年代以降に録音された、ある程度まとまった交響詩集の中でも個人的にベストワンと言いたくなるほどの素晴らしいものです。
若い頃のやりたい放題的なものとは違い、ドッシリと構えた、万人にお薦め出来る録音です。
ティル・オイレンシュピーゲルで見せる巧妙な語り口(決していやらしくない)や、死と変容で見せる深刻度、英雄の生涯ではオーケストラ芸術の粋を見せるかのような表現の幅。
そして個人的には家庭交響曲がとても素晴らしい演奏で、決して録音として多く無いこの曲の、代表的な録音として推せるものです。
リヒャルト・シュトラウスが聴きたくなったら真っ先に聴いちゃう、そんな録音です。
ホントにお薦め。


マーラー交響曲全集



マゼールのマーラー演奏は、最近発売されているフィルハーモニア管との録音も凄いのですが、あえて今回はこちらを紹介しました。
実はマゼールはニューヨークフィル時代にもマーラーの交響曲全集を録音していて、そっちもとても素晴らしいのですが、そちらはiTunes Storeなどでのダウンロード販売のみ、なんですよね。
全集として入手しやすい(そしてお買い得)のはウィーンフィルとの録音。
録音に古さはあまり感じさせませんが、落ち着いた演奏。
いや、落ち着いたと表現していいのかなぁ・・・マゼールにしては、という事で。
オケの水準はとても高いです。
ウィーンフィルのマーラー全集、っていう意味だと、実はこれしか残ってないんじゃないかなぁ?
一聴した時は「あぁこんなもんかー」とか思っちゃいますが、繰り返し聴いているうちに「こんな凄い演奏だったのか・・・」と思わされる瞬間が訪れます。
美しく、冷たく、熱い。そんな演奏です。


ドヴォルザーク スラブ舞曲全曲


これ、超絶お薦めです。
ベルリンフィルとの共演による録音は、特に90年代はそれほど多くありません。
ですが、この演奏は本当に本当に素晴らしい!!!!
超絶優秀なオケによる、民族っぽさを排除した、マゼール節全開のこの演奏は、例えばノイマンであったりセルであったりクーベリックであったり、といったチェコと繋がりのあったご当地指揮者(悪い意味で使ってるわけじゃないですよ)によるものとは大きく異るアプローチなのです。
それが実に良いのです。
血湧き肉踊るこの感じは、是非大きめの音量で聴いていただくに限ります。
重々しく感じられるかもしれないそのリズムが、ドヴォルザークのシンフォニックなサウンドを引き出すためのものであり、それが決して胃もたれしないという、ギリギリのところで繰り広げられます。
最後の一曲までじっくりと味わっていただければ、最初から最後まで通して一つの楽曲なのだなぁ、という事が伝わってきて、最後の二つの音が鳴り響いた後、思わずため息と共に涙が溢れ出します。
私がこの曲に勝手に持っていた「土臭さ」というイメージは、この演奏で見事にくつがえりました。


ウィーンフィル名演集


本当はこれじゃないんですよ、おすすめしたいの(笑)。
この中で特に「ドビュッシー」をおすすめしたいのです。
マゼールがウィーンフィルとドビュッシーを録音した、というのはある意味では大事件だったのですが、同時期のラヴェルの方がずっと話題になりましたね。
本当はドビュッシーアルバムをお薦めしたかった(夜想曲とかすげーのですよ!)んですが、まぁ仕方ない。
で、この海ですが、とっても不思議な響きがするのです。
濃密。でも空虚。これはヘンテコ演奏って言ってもいいかもしれない・・・。
バランスのせいなのか、マゼールが狙ってるのかは分からないのですが、まるで別物の曲のような、オドロオドロしさというか、なんというか・・・。
ケレン味と呼ぶにはあまりにも特異すぎる、もうマゼールにしか出来ないような演奏。
これウィーンフィルとの共演だから余計に凄いんですよ。
良いとか悪いとかじゃなく、ただただ「凄い」演奏です。
もう二度と聴かない、って言う人が出てもおかしくないと思いますねw
ちなみにこの盤にはラヴェルの録音も入っていますが、ラ・ヴァルスが素晴らしいです!もちろん世評高いボレロも凄いのですが、ウィーンフィルによるラ・ヴァルスは、プレヴィンのものとこのマゼールのものが有名ですが、どちらも本当に素晴らしい録音です。


ラフマニノフ交響曲全集


ベルリンフィルとの録音では、これも外せないなー、と。
ベルリンフィル自身がラフマニノフの交響曲の録音をする事があまり無い(というかコレが初めてじゃないか?)のですが、この演奏は実に素晴らしいですね。
個人的には1番の交響曲がマゼールにピッタリな気がしていて、それがベルリンフィルの驚異的な合奏力と合わさって、ギラギラした演奏になっています。
2番にはプレヴィンやアシュケナージといった名盤があるのですが、この録音も負けていませんね。
マゼールは比較的クールに処理していますが、これまたベルリンフィルの、特に弦楽器の圧倒的な表現力により、細部にわたってとても美しく歌いあげられます。
知と情のバランスがしっかり取れている、万人が聴いて納得出来る演奏じゃないでしょうか。
3番は他に比較出来る演奏を知らないので、あまり多くは語れません。すみません。



比較的新しい録音(マーラーはアレですけど)を紹介したつもりです。
昔の録音(ウィーンフィルとのチャイコフスキーやシベリウス、ベルリン放送響と入れた一連の録音とか)も面白いもの多いんですけどね。
クリーブランド管の音楽監督時代に入れたプロコのロメオとジュリエット、ピッツバーグ響と録音したレスピーギとか、フランス国立管と入れたホルストの惑星とか・・・。
オペラなんかもお薦めしたい録音はいろいろ有るんですけどね(プッチーニのトゥーランドットとかこれまた凄いんですけど)。

それにしても、まだまだ精力的に録音やコンサートを進めていたマゼール氏。
昨年も100回以上の公演をこなしていたわけで、本当に凄いなー。
もう一度、実演に触れてみたかったです。。。ただただ残念。
彼の遺した録音を聴きながら、しばらくは彼を偲びたいと思います。
posted by ぎじん at 21:50| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | CD評等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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